トピックス

花園出場決定

_DSC9288.jpg

チーム武蔵 花園出場決定 (2年ぶり8回目) 

2022年11月13日、土砂降りの黒い空の下、チーム上柳の夢が潰えた。下級生たちの心に覚悟が刻まれた瞬間だった。あれから1年、たくさんの経験を積み重ねてチーム武蔵がこの決戦の地に戻ってきた。

相手は5年連続の決勝対戦となるライバル東海大静岡翔洋。この代になってセブンズ、春総体と聖光が快勝しているが、自分たちにとっては「1年前のあのゲーム以来の再戦」と捉えた。春総体の結果を受けて相手が途方もない努力を重ね、狂うほどの情熱で向かってくることは容易に予想できた。何か秘策を散りばめてくることも。花園がかかった決勝という大きな舞台で何が起きてもパニックになることなく、いかに自分たちのやるべきことに集中することができるかが大切なゲームだった。

10.jpg

ゲームは最初の10分間だけが自分たちの時間。春の大勝を思い出す展開だった。しかし14対0とした後の1本を取りきれなかったところが勝負の大きな分岐点となった。あとの時間は相手の圧力を前にペナルティーを延々と続け、完全に相手の流れ。想定を遥かに超える苦しい展開となった。

14対12と猛烈に追い上げられたところで値千金のトライ。しかしキックが外れて19対12。ワントライワンゴールで同点引き分け抽選となってしまう。それでもまたペナルティーを犯し、相手の猛攻撃を受けた。ゴールラインを背に意地と執念が1センチを争った。ランニングタイムで31分、死ぬ思いでボールを奪い返したが「まだラスト1分」の宣告。

最後の1秒まで勝敗が全く分からない死闘は、33分にNO8凜太郎がタッチにボールを蹴り出して幕を閉じた。花園という託された夢を聖光学院が勝ち取った。

2.jpg

1年前のリベンジを果たした優勝、そして憧れの地・花園出場。表彰式に並んだ選手たちの胸は、その喜びではなく地獄から紙一重で生還した安堵感と負け試合のような内容への反省が大きく占めた。

あの1秒1cmを凌いで勝ち切った。一人ひとりにとって、その意味は何だろうか。誰にも知られずに一人走った1時間がなかったら、帰ろうかと迷ったが努力を選んだ1回の個人練習がなかったら、負けていたのかもしれない。積み重ねてきたものがあと1cm低かったら、ノーサイドのホイッスルと共に地面に崩れ落ちていたのかもしれない。ライバルであり同志である東海大静岡翔洋から、たくさんの課題と深い意味を与えてもらった。

7.jpg

決勝の前日、ミーティングで私が選手時代に経験したオンリーワンのゲームについて話をさせてもらった。仲間のことが大好きすぎて、そのクラブのことを心の底から誇りに思い愛していた。だから試合中に仲間の笑顔のためなら何でも喜んでやってやるさという不思議な力が身体中を埋め尽くし、ニヤニヤ笑顔で(好きではなかった)タックルを繰り返した。

人間、自分のために出せる力などたかがしれている。自分がそれでいいと思えばそれで終わりだから。しかし「誰かのために」という思いが綺麗ごとでなく心の色を本当に変えた時、自分の限界を遥かに超えたとんでもない力が宿る。これがラグビーを通じて最も部員たちに伝えたいことだ。

言葉や文章にするとありふれている。しかしこれを「体験」として獲得できることにスポーツの価値がある。タックルやスクラムなど日常生活とかけ離れ、一般人からすると正気の沙汰とも思えないラグビーのプレーは、その「体験」をさらに崇高なものに引き上げる。この日の決勝戦、この領域までたどり着くことができただろうか。

Man for others.

学校が掲げる誇るべき校訓。

花園まで道が続いたことに心から感謝し、残された期間でかけがえのないものを手に入れてほしい。

 

4.JPG

 藤田武蔵(キャプテン)

「たくさんの応援ありがとうございました。試合中、同級生のみんなやOBの皆様の声援が聞こえて何度も励まされました!花園まで、もっともっと強くなってベスト8なれるよう精進します。今後ともよろしくお願いします!」

 

小野澤謙真(バイスキャプテン)

「県予選を優勝し、次に繋がったことに喜びを感じています。決勝戦では、ミスが多くチームに迷惑をかけてしまいましたが、チームメイトのおかげで勝利することができ、みんなに感謝したいです。また、家族や学校関係者、先輩方のおかげで勝ち切ることが出来たと思います。ありがとうございます。ここからのたくさん練習し、目標であるベスト8を達成できるよう日々生活していきたいです。」

 

虎岩壱悟

「過去の決勝で勝った時、先輩達が嬉し泣きしているの見て自分は「自分だったら泣けるのかな」と思ってた。でも、実際は嬉し泣きした。それは、去年の試合に勝てなかった悔しさと試合に出れず自分の無力感を思い知った経験があって、今のチームの皆で頑張ったからこそ泣けたのだと思う。今の自分があるのは、先輩や家族、友人、先生方の応援や協力があってこそだと、改めて知った。今までで一番嬉しい経験となることができたのも応援や協力があったから。応援してくれた人達には、感謝しかない。応援してくださった皆様、良い経験をさせてくれた先輩、後輩方々、本当にありがとうございました。」

 

杉山太郎

「花園予選決勝でした。勝てた事はとてもほっとしています。でも、自分達がやりたい事ができず、攻めあぐねてしまいました。この試合を活かして花園では目標のベスト8という景色を見れるよう、これからも練習したいと思います。」

 

戸倉星多

「花園への切符を手に入れられたのは、自分たちを応援してくれている人がいるからである。それは勝った瞬間に、嬉しくて涙が出てる時に身に染みて感じた。一列に整列した時に見えるあの風景を今まで何度も見てきたが、花園への切符をかけた決勝で勝ったその時だけは、ただ感謝することしかできなかったし、それ以外をしようと思わなかった。これから全国大会に向けて今以上に応援してくれている人たちに感謝して生きていこうと思う。」

 

中島邦英

「今年の決勝もベンチからのスタートになりました。去年の悔しさを経験しているし、自分にとっても最後の花園予選なので前日はどんな展開でも試合に出たいという思いが強くありました。しかし当日グラウンドで体を張るみんなを見て、このチームが勝てばなんでもいい、まだみんなと一緒にラグビーをしたいと思い、自分ができることを精一杯やり遂げました。そして試合が終わった瞬間には自然と涙が出てきました。グラウンドにはたてなかったけどみんなと一緒に戦えたことを誇りに思います。花園へ連れていってくれたメンバー、応援しにきてくれた同級生、後輩、家族に感謝をして、花園ではプレーで恩返しできるように残り数ヶ月の高校ラグビー生活を全うしようと思います。」

 

岡村洋希

「まずは優勝して、とても嬉しいです。会場には家族や同級生など沢山の人が応援に来てくれてとても励みになりました。ただ個人的には、今回の試合でボールキャリーの数が少なかったので、花園では積極的にプレイに絡んでいこうと思います。聖光ラグビー部の皆んなと一日でも長くラグビーがが出来るように、これから花園に向けて頑張ります。これからも応援よろしくお願いします。」

3.jpg6.jpg5.jpg1.jpg

 

11.jpg12.jpg13.jpg8.jpg14.JPG胴上げ3.jpgIMG_0720.JPG

 

 

2023-11-13 18:21:35
1